皆さんは、
- 「最近調子が落ちてばかりで辛いなー」
- 「上司のものの言い方に嫌な気持ちになったな」
- 「期限が目の前に迫っているのに、中々行動することができない」
- 「集団の中にいると、落ち着かない。または、打ち解けない」
- 「いつも自分自身を奮い立たせている気がする」
などと、感じるときはありませんか?
私はよくあります。なぜ、そう感じるのか。
それは、私たちが幼少期に親から言われた言葉や行動によって、心の中に、「禁止令」というものが植え付けられるからなのです。
「禁止令」というのは、
潜在意識に植え付けられた否定的なメッセージであり、そして親から植え付けられたメッセージなのです。
この「禁止令」こそが「生きづらさ」の根源です。
だからこそ、自分の人生で嫌だったことや言われて苦しかった言葉に目を留めて、自分の「禁止令」を見つけることが大切です。
そして、この「禁止令」を受け入れていくことで、自分自身が「生きづらさを克服すること」が出来てきます。
禁止令とは
禁止令とは、心理学の交流分析の一つの心理学になります。1950年代にエリック・バーンという精神科医によって提唱されました。
まず、禁止令に入る前に、私たちの心の中には、「人生脚本」というものが存在しています。
人生脚本というのは、幼少期の時に、「自分はこうやって生きていく」と思うことです。
例えば、
- 自分は一人で生きていかないといけない
- 甘えてはいけいない
- 常に成績で一番になっていないといけない
- 優秀でありつづけないといけない
- 人に助けを求めないで自分で解決をしないといけない
などと思ったことはありませんか?
それも基に、人は幼いころに影響された言葉で、今生きている色んな場面で決断を下しながら生きていています。
そして、人生脚本の大部分は親からのメッセージによって成り立ってしまいます。
無意識の内にメッセージを受け止め、それに従って生きるようになってしまいます。
これがまさに、人生脚本と禁止令によって生きてきた生き方なのです。
小さい頃に、「両親に甘えても意味がない」ということから、「人に甘えないで生きる」という禁止令を決めました。
そして、大人になっても甘えることが出来ず、何でも自分一人で抱えこみ倒れてしまうことを何回も何回も繰り返していました。
これが人生脚本になります。
自分が勝手に決めた禁止令によって、その後の生き方までも影響することを人生脚本になります。
私の実体験をお話させて頂きましたが、この様に自分の中の禁止令があることで、
大人になり、仕事や家庭を持っていると、無意識に自分の中の禁止令によって、自分自身を縛っていたり、人間関係が苦しくなってしまうケースが多いです。
多くの方をカウンセリングさせて頂いていますが、私たちの悩んでいることや、自分自身が生きづらさを抱えているものの中には、
必ずと言っていいほど、
「禁止令」というものが、植え付けられいます。
この「禁止令」というものこそが、アダルトチルドレンの生きづらさであり、また人間関係で悩んでいるときに、この禁止令というもののせいで、人間関係に悩みがあるケースがほとんどです。
12個の禁止令
禁止令には12個の種類があります。皆さんはどれが当てはまっているでしょうか?
自分の過去を振り返りながら考えて見てください!
禁止令
- 存在するな
- 甘えるな
- 健康であるな
- 何もするな
- 自分であるな
- 子供であるな
- 成長するな
- 自立するな
- 成功するな
- 自分のことを欲しがるな
- 一番(重要)であるな
- 信頼するな
などと、もっともっとたくさんの禁止令があります。
人によっては、あなたにしかない禁止令があるので、一概にもこれしかないというのはありません。これから詳しく、12個を説明してみます。
1.存在するな
この禁止令はかなり辛いと思います。
幼い頃に両親から虐待を受けていたり、「お前は生まれてこなくてよかった子供だ」と言われてた子供はこの禁止令が必ずあります。
また、両親からの愛情を受けることが出来なかった家庭環境だったり、親が原因なのに子供のせいにさせられてしまっていると、
「自分は生きてはいけない存在」「目立っていてはいけない」「影を潜めて生きていかないといけない」
と思ってしまい、自分の存在を、自分の命を大切にすることが出来ません。リストカットをしていたり、薬物依存になってしまっている人などに、この禁止令が影響している可能性があります。
2.甘えるな
人に対して、物事を頼むことや、自分自身にご褒美を上げることが出来なかったり、また、一人ですべての仕事や物事をしてしまう人に、この禁止令が入っていることが多いです。
というのも、日本人ならではの教育で、「自立していないといけない」というのを、子供の頃から教えられてしまっていると、
大人になった時に、人に甘えることに対して、「罪悪感」や「迷惑をかけてしまう」「申し訳ない」といった考え・思考になってしまいます。
この禁止令を持つ人は、早い段階で自立をうながされ、子どもらしさを持つことを許されず、のびのびと子どもらしく自由に過ごせなかったことから、子どものような自由な振る舞いがしたくてもできません。
また、誰に対しても常に「いい子」「いい人」であろうして、人に気を使いすぎたり、本心でないことを言ってしまうことも。わがままを言ったり、人に甘えることもできなかったりします。
子供の頃に親や人に対して甘えることをたくさんしていると、この禁止令は当てはまる可能性は低いと思います。
自分が苦しいときやピンチになっているときに、人に相談やお願いをすることが出来ないひとは当てはまっている事が多いです。
3.健康であるな
この健康であるなは、いつも何かしらの病に悩んでいる方や自分自身の健康に対して、無頓着である人が当てはまる可能性があります。
というのも、子供の頃に、親から日常生活の中で愛をもらっていない人が、病気になることで、自分が親に注目され、本当は違う形で欲しかった愛を貰うために、自分がいつも病気になっていないといけないと無意識の中で決断しているのです。
病気になることで、親から愛情をもらったり、また、親が病気になりがちで入退院を繰り返している人が、「健康であるな」という禁止令が入っている可能性があります。
病気になることで、また、弱い自分のほうが受け入れてもらえると感じている人はこの禁止令が入っています。
この自分を演じないと、
「自分は自分ではいない」「自分が生きているという実感がない」
と無意識の中で思っていることがあります。
4.何もするな
「何もするな」の禁止令がある人の特徴としては、過保護な親や過干渉な親に育った人にある特徴です。
「あれも、これも危ない。」といって、親の恐怖心によって、子供の行動を制限をするケースが多いです。
「いじってはダメよ。あなたは必ず壊すのだから。」「危ないから、ナイフで鉛筆を削るのは、いけません。」など、
子供が持っている好奇心や遊び心に対して、「危険だ。」と親が思ってしまい、
子供がやりたいことや言い出したこと全てに対し心配して、制限をかけてしまっています。
すると、子供は、「自分がすること、正しいこと、安全なことは、一つも無い」と思ってしまって、
自分からは行動することが出来ずに、指示していくれる人を好み、自発的な行動や自分がこれをしたいということが少ないです。
5.自分であるな
「ありのままの自分がわからない」「自分が自分ではないような感覚がある」という人には、この自分であるなという禁止令が入っている可能性があります。
幼少期に、親からいつも兄弟姉妹や他の子と比較され他の子ばかりほめられたり、
「だからお前はダメなんだ」とパーソナルな部分を否定されてしまっていると、「自分であるな」という禁止令が入っている可能性があります。
また何でもきちんとしている模範的な親を見て育ち「自分も親のようでなければならない」と思い込んだり、
容姿や服装などの見た目や世間体に口うるさい親に育てられ「お前であるな」と決断することもあります。
この禁止令を持つ人は、いつも自分と他人を比べてしまい、強い劣等感を持っていて、
劣等感を否定するために、「勝ちたい気持ち」があったり、自分が一番で居たいために陰口がひどい人にあります。
そして、他人がほめられているのを見たり、聞いたりすると嫌な気分になってしまう人にも、「自分であるな」というメッセージが入っています。
6.子供であるな
この禁止令は、本来親が兄妹を育てないといけないのに、子供が自分の弟、妹の面倒を見るよう言われている人に当てはまります。
また、子供らしさを持つことを許さない親に育っていると、「子供であるな」というメッセージが入ってしまっています。
わがままであることや自分の感情を優先することを回避し、他者の感情を優先させようとする。
そして、「子供であるな」の禁止令が入っているケースで多いのは、
親自身が子どものときに、子どもをしていなかったから、自分の息子・娘たちに無意識に子どもをさせてないように教育をしてしまいます。
7.成長するな
成長するなは、「子供であるな」の真逆になっていて、すべての事に対して、親が干渉をしてきたり、制限をかけることで過保護に育てられるケースが多いです。
末っ子の人や子離れできない親が持っていることもあります。親自身が、子供に対して、適切な自立や子離れを出来ていないと、
子どもの心の中には、「僕は無理して成長しなくてもいい」「別に親がやってくれるからなにもしなくていいや」と無意識に思ってしまいます。
そうすると、子どもには自立することができなくなり、また、親子関係に中で依存的な関係になっているケースが多いです。
8.自立するな
これは、7の「子供であるな」と似ています。ほとんど同じかもしれません。
この自立するなといメッセージもまた、
親子関係が共依存の関係になっているときに、親は子供を手放さないために、お金を援助したり、色んなことに手を出して、常に親の手の中に子供がいるケースが多いです。
マザコンな人や、今話題の言葉でもある「毒親」のタイプの親の無意識の中で、「子供を自立させない」というのがあります。
また、親が周りの視線や世間体を気にしすぎてしまい、子どもを自分の思う通りに育てれば、
周りから良い親という評価をもらえるために、子どもを支配し、自立させないようにするケースもあります。
9.成功するな
私たちが子供の頃に、何かに挑戦した時、うまくいったときには褒めてもらえない。でも、失敗したときは慰められたり、励まされたりする。
こういうことを繰り返しているタイプの人には、「成功するな」という禁止令が入っています。
両親が子どもの 成功体験に関心を示さず、失敗したときだけ批判をすると、子どもは勝手に「成功してはいけない」というように思ってしまいます。
また、親自身が成功した体験が少ない事で、子供が成功すると、親自身が嫉妬するこういう家庭に育ってしまうと、子供の心の中には、 「成功してはいけない」と思ってしまいます。
そして、子ども自身が成功する一歩手前ですべてを投げ出したり、仕事が成功・達成するのにも関わらず、
手を引いてしまったり、自分の手柄にしない人には、この「成功するな」というのが心の中にあります。
それは、子どもの心の中には、「自分は成功なんてできない人間なんだ」と思ってしまっているからなのです。
何をしても、 何度も失敗してしまうようなパターンに陥っている人は「成功するな」という禁止令が入っている可能性があります。
10.自分のことを欲しがるな
- 「人に頼みごとができない」
- 「頼みごとをすると罪悪感を感じる」
- 「自分は二の次。まずは、家族のため、親のため、子どものため」
- 「自分の欲求を素直に出している人を見るとイライラする」
と感じる人には、当てはまると思います。「欲しがるな」は、自分のために苦労や我慢をし続けている親の姿を見ていたり、
「なんでもかんでも欲しいとは言ってはいけない!」「我慢しなさい!」と言い聞かされていた人が決断することがあります。
この禁止令を持つ人は、自分の欲求を後回しにし、欲求を感じることや欲しがることを回避する傾向にあります。
また、自分のことを優先しないで、いつも人のために頑張ってしまう人に当てはまります。
そのため、自分の欲求が分からなかったり、欲求を素直に言えないだけでなく、他人に幸せを譲り、自ら幸せを壊すような行動をとってしまうこともあります。
このようにいつも、自分のことを優先順位を低くしたり、他人のためにならば、なんでもしてしまう人には、「欲しがるな」という禁止令が入っています。
11.一番(重要)であるな
子供がテストでいい点を取った時や先生に褒められたとき、子供は親に対して、
- 「今日こういう事があったんだ!」
- 「今回のテストで85点も取れたよ!」
と子供は、親に話すと思います。
ですが、この時に、親が「あっ、そうなんだ」と親の反応が冷たいと、子どもは認めてもらえないこと・褒めてもらえないことにショックを受けます。
それが重なっていくと、「自分は一番(重要)であってはいけない」と思い、「一番であるな・重要であるな」という禁止令が入ってしまいます。
この禁止令を持つ人は、常に目立たないように心がけ、陰日向で活躍する人であることが多いです。
また、部下やチームメイトとしては優秀だったのに、リーダーやキャプテンになった途端に実力が発揮できなくなる人はいないだろうか。まさにそういう人は、この禁止令が入っています。
人の上に立つ立場になると、「重要な人になってはいけない」と自分に禁止令をかけてしまうので、自分が本来持っている力を思うように、発揮することが出来ません。
また、私は表舞台にたつよりも、裏方のほうがいいという人にも、すこしこの禁止令が入っていると思います。
12.信頼するな
「人は信用できない」と思っていたり、逆に「人を信用しなくてはならない」と決断している人。
「信用できない人、嫌いな人に近づいては、裏切られる経験を繰り返す」と思っている人には、この「信頼するな」が入っています。
なぜかというと、
幼少期に、親がすぐに約束を破ったり、普段は優しいのに急に怒り狂ったり、突然と態度を変えて、安心することが出来なかったこともあります。
もしくは親から「人を信じてはいけない」と言われていると、「人は自分を傷つける存在であり、信頼は出来ない」などと決断し「信頼するな」という禁止令を思ってしまいます。
その結果、常に人を信用できないという感覚をともなう一方、
とうてい信用できない人を信用しては騙されるということを繰り返し、
「やはり人は信頼できない」と決断を強化していくのです。
この禁止令の影響を受けている人は「人間関係は必ず壊れるものだ」という決断をしてしまい、
いつも一人でいたり、自分ひとりで生きようとすることをしています。
また、良い人間関係を持っている人を見ると、自分自身が人間関係を築けないために、
人の人間関係を壊そうともしてしまうので、「信頼するな」という禁止令は一番やりがいのある禁止令になります。
自分の中にある禁止令を変えていくには?
12個の禁止令を読んでみて、あなたは何個当てはまりましたか?
なにかしら一個は当てはまっていると思います。
ですが、当てはまっているからといってダメなことではありません。
むしろ、自分を変えていく良いきっかけなのです。
この禁止令を見つけたが、禁止令から解放され、生きづらさが無くなっていく第一歩なのです。
そして、この禁止令を見つけてからは、少しずつ自分の禁止令を書き換えていきます。
自分に言葉をかけるとき、禁止令をリフレーミングすることや、肯定的な言葉に変えていくことがポイントです。
そして、何よりも、自分の禁止令を見つけることが出来たこと自体が、すでに癒やされていることに繫がります。
見つけること・気付けることがまずは100点なのです!
まとめ
私たちが育った家庭環境の中で、無意識の中で、自分自身に課してしまっている禁止令にはたくさんのものがあります。
今回は12個の禁止令を描いてみましたが、もし、読んでいて何か引っかかったり、抵抗を感じる、または否定したくなるようなものがあれば、それはあなたが課してしまっている禁止令でもあり、親からの禁止令です。
その禁止令を解くには、自分がどんな禁止令に縛られているのかに気づくのが第一歩です。必ずあなたの中にある禁止令は解放されます!